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映画「横道世之介」のあらすじと感想(ネタバレ)

2013年3月3日 竹内みちまろ

映画「横道世之介」
監督:沖田修一
原作:吉田修一
制作:2013年 (日本)
出演:高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛、朝倉あき、黒川芽以、柄本佑

横道世之介のあらすじ

 1987年4月、長崎から上京し、市ヶ谷にある法政大学に入学した横道世之介は、倉持一平・阿久津唯・加藤雄介などの新入生たちと友だちになります。サンバサークルに入り、加藤といっしょに通った自動車運転免許の教習所で、お嬢様育ちの与謝野祥子と出会います。祥子は、いきなり、世之介のアパートに来てプールへ誘ったりと、世間とずれているところはありますが、明るく元気な女の子でした。

 世之介は、サンバサークルの先輩の紹介で、ホテルでアルバイトを始めます。バブル絶頂の時代で、チップに1万円をもらったりします。長崎から上京してきた小沢は、マスコミ研究会に入り、ダンスパーティーを開催しているようです。世之介は、小沢を通して知り合った、パーティガールの片瀬千春に恋をます。

 夏休みに長崎の実家へ帰省するという世之介に、祥子がいっしょに行くといい始めました。長崎には、世之介がかつて付き合っていた、高校の同級生の大崎さくらがいました。

横道世之介の感想

 「横道世之介」は、ストーリーものというよりは、世之介の一年間をほんのりと描いた物語でした。出会う人たちも、素朴で、世之介も人見知りしない性格で東京での時間を過ごします。

 印象に残っている場面があります。世之介の祖母が死んで、世之介が長崎に戻ったとき、大崎さくらが弔問に訪れました。世之介は、さくらといっしょに、長い階段を下ります。上京した世之介と、長崎に留まっているさくらにはもう、違う時間が流れているのですが、階段を一歩、一歩、下りる2人の足並みは、まったく、いっしょでした。時間は流れても、過去に2人に流れた時間は残っているのだなと思いました。

 また、本作は、ゆったりとしたカメラワークではじまり、時間の流れが現在とは違うことがわかりました。新宿駅東口の駅前広場には、カセットテープブランド「AXIA」の斉藤由貴の看板があったり、KISSMINTガムのプロモーションライブをやっていたりと、つい、なつかしくなりました。丸井の10回払いでスーツを買った経験がある人は多いのではないかと思います。

 「横道世之介」は、ほのぼのとしただけの物語ではなく、35歳になった世之介は、線路に転落した人を助けるために線路に飛び込み、死亡してしまうのですが、加藤や、千春や、祥子たちは世之介が死んでからも生き続けます。でも、世之介とさくらの足並みがいっしょだったように、世之介がいなくても、世之介と過ごした時間は、みんなの中に残り続けるているのだなと思いました。


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