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ジェーン・エア/シャーロット・ブロンテのあらすじと読書感想文

2004年9月24日 竹内みちまろ

ジェーン・エアのあらすじ

 「ジェーン・エア」シャーロット・ブロンテ/(大久保康雄訳)は、過酷な環境で育った孤児が幸せをつかむ物語です。「ジェーン・エア」は、作品に登場する女主人公の名前でした。逆境に打ち負けずに、強く生きるジェーン・エアの生きざまが、何世紀にも渡って感動を呼び続けます。「ジェーン・エア」は、ヒロインが一人称で語る自伝という形を取ります。ヒロイン以外の人物は、全てヒロインの目を通して描写されています。会話文を多用したり、相手のちょっとした仕草を描写したり、ときには、犬や子どもなどの脇役を使って、ヒロインと周りの人間たちの関係を、あきらかにしていきます。そして、場面が変わる時や、話が大きく飛ぶときは、作者自身が現れて、「読者よ、この間の出来事は省略する」という風に説明をしてくれます。「ジェーン・エア」は、長いスパンをカヴァーする小説ですが、不明な箇所がなく、とても読みやすい作品でした。

 「ジェーン・エア」の冒頭で、幼かったジェーン・エアが冷酷な叔母の家で養われていて、その家の子どもたちからいじめられる様子が書かれています。ジェーン・エアは、その家から寄宿制の学校に引き取られます。ジェーン・エアの生い立ちや、風の噂で聞き知ったどこかにいるという叔父の存在など、全編に多くの謎がちりばめられており、読者を飽きさせない展開は見事だと思いました。「ジェーン・エア」のヒロインは、強烈な個性を持った女性でした。養育された叔母の家を出るとき、自分への仕打ちの仕返しに、叔母に向かって、あなたは「世間では善良な婦人として通っていますが、本当は悪い、薄情な人です」と毒づき、いつかそのことをばらしてやると言い捨てます。また、恋に裏切られた場面では、無一文でさすらいの旅に出ます。そして、ラストシーンでは、当惑する男性に向かって燃えるような恋心を打ち明けます。

ジェーン・エアの読書感想文

 女が自分から男に恋を打ち明けるなんてあってはならないと考えられていた時代に登場した「ジェーン・エア」は、女性に対する社会通念をことごとく打ち破ったそうです。「良識」ある人たちからは、「絶対に良家の子女に読ませてはならぬ」という非難まで浴びたようです。しかし、「あしながおじさん」を読むと、米国の女学生にとっては、「ジェーン・エア」を読んでおくことは、教養の枠を超えて、たしなみになっていることがわかりました。また、「サイダーハウス・ルール」には、孤児院から逃げ出した少女が無一文でさすらいの旅に出る場面がありました。少女が逃げ出したことを告げられた孤児院の院長は、少女が「ジェーン・エア」を持ち去ったことを知って安心します。

「彼女はいい本を持ち合わせている。それを読んで、読んで、読みつづけさえすれば」

 少女は、旅の途中で何回も「ジェーン・エア」を読み返します。「ジェーン・エア」は、今でも、世界中で愛読され続けています。名作は、永遠なのだと思いました。


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