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「目の見えない犬ダン」のあらすじと読書感想文

2012年8月20日 竹内みちまろ

目の見えない犬ダン/大西伝一郎のあらすじ

 平成5年(1993年)の夏、愛媛県松山市の吉藤団地に住む5歳の久保田望(くぼた・のぞみ)さんと、石井希(いしい・のぞみ)さんは、段ボール箱に入れられて捨てられていた目の見えない子犬を川で見つけました。生まれて間もない子犬は、「すてられたときに、頭を強く打って、目が見えなくなった」といいます。

 団地にはペットを飼ってはいけないという規則がありました。望さんと希さんは団地の子どもたちといっしょに、団地の自治会長の坂本義一(さかもと・よしかず)さんへ相談に行きました。「盲導犬は、目の見ない人をたすけてくれるのに、目の見えない犬は、どうしてすてられちゃうの?」と尋ねました。子犬を守りたい、子どもたちの願いを叶えたいと思った坂本さんの呼びかけで団地の大人たちが集まり、「盲導犬は、人をたすけてくれているのです。目の見えない子犬を、わたしたちが、どうしてたすけてあげてはいけないのですか」などと必死に訴える子どもたちに、言葉を返すことができる大人はいませんでした。

 子犬は、団地の横のフェンスで覆われた小さな広場で飼われることになりました。団地で飼うので「ダン」と名づけられました。望さんと希さんが潮見小学校の2年生になったとき、2人で相談して、愛媛子ども文化研究会が毎年全国から募集する「紙しばい」のコンクールに、「ダン」の話を応募しました。子ども部門の最優秀賞を受賞し、マスコミ各社によって、ダンのエピソードと共に、全国に報道されました。全国から反響が集まり、「目の見えない犬ダン」の話は小学校の道徳の教科書にも掲載され、団地の人々、潮見小学校、地域の人々に見守られながら、望さんや希さんたちが中学生になっても、ダンは元気に過ごしていました。

(松山市立潮見小学校−学校公式サイトによると、ダンは、平成18年(2006)11月15日に、13歳という犬としては長寿を全うして亡くなったそうです)

目の見えない犬ダンの読書感想文

 ダンを育てた子どもたちや、協力し、また見守った大人たちの純粋な願いが心に響きました。犬をはじめペットを飼うことは簡単なことではなく、(団地では不可などの事情もあり)そもそも飼うことが出来ない家庭もたくさんあります。しかし、それでも、ダンを守りたいという純粋な願いから、ダンを飼うことになり、ダンを飼うために話し合ったり、工夫したりしたことや、ダンと共に過ごした時間は、ダンにかかわった人たちにとって、かけがえのない宝物になったのではと思いました。

 犬の寿命は人間よりも短く、子どものころに飼い始めた子犬でも、自分が成長するにつれて衰え、やがては死んでしまいます。それは生き物である以上は避けられないことですが、ダンと共に過ごすことによって、命というものを感じ、そして、みんなで協力して育てることにより、さまざまな経験をしたのだと思います。「潮見小学校−学校公式サイト」には、「ダンに関わったたくさんの人のやさしさや思いやりの心は、潮見の宝としていつまでも受け継がれていくことでしょう」と記されています。そういった「宝」をいくつ持てるかで、豊かな人生を送ることができるのかが左右されるのかもしれないと思いました。


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