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2013年11月11日 竹内みちまろ
テレビドキュメンタリー「痛快!ビッグダディ」でも放送された、美奈子ファミリーが小豆島からフェリーで旅立つ場面で始まる映画「ハダカの美奈子」。劇中のビッグダディは握りこぶしの両手を振り上げてフェリーを見送り、海を眺める美奈子役の中島知子さんは、豊満な腰のラインが、本物の美奈子さんとそっくりでした。あらすじと感想をメモしておきたいと思います。
美奈子がビッグダディと離婚してから10年。美奈子は介護施設で働いています。家では、大学進学の夢を持つ高校3年生の次女キララが、炊事や洗濯をはじめ、下の子どもたちの面倒を見ています。高1の3女ライムは、学校でいじめに遭っている様子。中学3年生のヒスイは、布団から出て来た小5の末娘レントに「起きたの! かわいい!」と抱きつきます。レントは眠い目をこすりながら「もう、子どもじゃないんだから」とうるさがります。美奈子は、介護施設では主任として部下の介護士にも気を配り、入所者からも信頼されています。そのぶん仕事が大変なようですが、「ごはんくらい家族みんなで食べましょう」と笑顔を絶やさず、“ビッグマミィ”一家は暮らしていました。
長女のノエルは、アイドルになるために東京に出ていました。美奈子の実の弟は、50年ローンを組んで東京にマンションを買ったそうですが、妻とは性格の不一致で離婚。大阪へ転勤になり、美奈子にマンションのカギを預けて留守中の管理を頼みます。そんな弟が、これ見た? と美奈子に渡したのは、弟いわく「それ、エロくない?」というノエルのイメージDVD。ノエルの活動については、キララも心配している模様で、美奈子に、「ミナ、ノエルちゃんとやってるかな? 騙されてんじゃないかな。だってそんなに簡単にアイドルなんかになれるわけないじゃん」と、いてもたってもいられない様子で打ち明けます。そんな矢先、東京でアイドルをしていたはずのノエルが、家に戻ってきました。ノエルは「そんなわけで、休業」と説明。無邪気なヒスイの口から、「アイドルは恋愛しちゃいけないんだよ!」とのひと言が飛び出ました。仲がいい姉妹たちなのですが、いったん火がつくと、顔つきが変わって、「ふざけんじゃねえ!」とヤンキー語を駆使し、取っ組み合いのけんかを始める賑やかな美奈子ファミリーでした。
一家のもとに、5年前に家出をしてから時々メールをよこすだけの長男シオンから、結婚するというメールが来ることで、ストーリーが始まります。美奈子ファミリーは、サプライズで祝福するため、シオンの結婚式に行くことになりました。
映画「ハダカの美奈子」は、10年後の美奈子ファミリーがシオンを訪れることがストーリーの基本軸になっていました。いじめに遭うライムに美奈子が「私は逃げた」と過去の体験を語る場面や、大学に進学したいキララが「私の代わりにだれが家事やるの? 家が回らなくなっちゃうよ」と健気に美奈子に話す場面などをきっけかとして、中学生の美奈子が父親から激しい折檻を執拗に受ける場面や、ろくでもない男と結婚した美奈子が「あんたが全部ギャンブルに使ったら、オムツやミルクはどうやって買うの!」と言い放ったとたんキレた夫からボコボコにされる場面などが回想されます。ただ、今回の作品が家族をテーマにし、ファミリーでも見ることができるというコンセプトで作られたため、15歳から28歳までの美奈子の壮絶な過去を演じた階戸瑠李さんが登場する場面は少なかったです。美奈子の過去の場面など激しい描写も編集した「ハダカの美奈子」R-18バージョンが来年公開されるとのことですので、そちらで、階戸さんが大活躍してくれると思います。
「ハダカの美奈子」は映画化すると聞いたとき、何を描くのだろうと思いました。さらに、10年後が描かれると知った時は、びっくりしました。美奈子さんはワイドショーに引っ張りだこの人気者で、元オセロの中島知子さんが主演ということもあり、話題性が先行している作品ですが、観てみると、開けてびっくりといいますか、美奈子のことを「ミナ」と友達のように呼ぶ子どもたちが、美奈子の後ろ姿を見るうちに、美奈子を母親として慕っていく姿がしっかりと描かれ、一本筋が通った作品に仕上がっていました。ほんとうに、あっという間の90分でした。また、美奈子が母親から箱を渡される場面は、美奈子が暗闇の中で憎しみやあきらめに満たされてしまっていた過去を持ち、現在もそれを引きずっているだけに、ぐっときました。家族って何なのだろう、絆って何なのだろう、幸せって何のだろうと考えさせられた作品。そして、大家族っていいなあと思わせる作品でした。
「痛快!ビッグダディ」ファンや、美奈子ファンへのサービスも盛沢山でした。ダディと美奈子が出会った飲み会の場面も再現し、「今日、排卵日だろ?」と聞いたダディに美奈子が覚悟の入れ墨を見せた場面などは、コアはファンにはたまらないと思います。ノエルのドラマは「私も人から喜ばれる仕事目指してたんだけどなぁ」という言葉から伝わってきましたし、美奈子がライムに「前にさ、テレビ出てた時あったじゃん、あんとき…」と聞かせる場面もありました。ただ、シオンの婚約者・松岡由香里として登場した美奈子さんが、劇中でシオンに「大好きなんでしょ、お母さんのこと」と語り掛ける場面は、姉さん女房を通り越して、完全に母親のまなざしになっていました(笑)
「ハダカの美奈子」は、コアなファンの方でも、そうではない方でも、楽しめる作品でした。
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