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ビッグダディの流儀/林下清志のあらすじと読書感想文

2013年7月3日 竹内みちまろ

 2006年テレビ放送開始の大家族ドキュメンタリー番組「痛快!ビッグダディ」の出演者で、ビッグダディこと林下清志さん(1965年生)の自叙伝的著書「ビッグダディの流儀」を読みました。「痛快!ビッグダディ」は、当初、奄美大島で男手一つで4男4女を育てる清志さんの姿と家庭を追った番組としてスタート。2011年4月には、18歳年下で5人の子持ちの美奈子さんと再々々婚(2013年4月に離婚)し、一連の過程が番組で放送され人気を得ています。『ビッグダディの流儀』のあらすじと感想をメモしておきたいと思います。

 『ビッグダディの流儀』は、11人兄弟の10番目として生まれた清志さんの生い立ちから始まります。柔道に夢中になり、清志さんにとっての天職ともいえる柔道整復師と出会った青春時代、厳しい修行時代、師匠の一人娘を好きになるも師匠の看板を背負う覚悟ができず夜逃げしてしまったこと、建設現場で働いた後、整骨院で働いたこと、美奈子さんとの出会いから離婚などがつづられています。同時に、清志さんの子育て論、人生論、テレビ番組「痛快!ビッグダディ」との出会いなどが書かれていました。

 清志さんの言葉で、印象に残っていることがあります。それは、「何かを一生懸命やる人間は人の話がちゃんと聞ける」という言葉でした。清志さんは、「生まれて初めて夢中になったものが柔道、初めて一生懸命取り組んだのが柔道」と記しています。そして、ひじを負傷し大学病院ではもう野球はできないと言われた社会人野球の選手が柔道整復師の治療によって復活した様を見て、「医者が治せないものを、治せる職業がある」と感激していました。それから、清志さんは、厳しい修行時代に入りますが、「サッカーでもいいし、将棋でもいい。極めれば料理だっていい。何かを一生懸命やっていくと、モノを考えるようになる。また、同じように一生懸命やっているヤツはすぐにわかる。お互い一生懸命な人の話はちゃんと聞こうと思うようになる」と考えるようになります。柔道をやっていなかったら、人の話が聞けない人間になっていただろうとも振り返っていました。

 清志さんは、自分の人生をしっかりと生きている人なのだなと思いました。夢中になれるものに出会い、天職を見つけたら迷うことなく突き進む。師匠の教えもあり、人からどう思われるのかではなく、自分がどうしたいのか/どうすべきなのかを考えることができる人間として生きていました。避妊はしないという思想の持ち主で、子宝に恵まれますが、生活は苦しいようです。しかし、「父ちゃんお腹すいたよ」と言われても、「俺だってお腹すいたよ。昨日から何も食ってないんだから」と返します。清志さんは、何ごとにも、ぶれずに、自分の軸を持って、生きているとも思いました。多額の借金を背負ったこともあり、子どもたちを連れて消費者金融を周ったこともあるとのことですが、柔道整復師であり、父親であるという軸がぶれないため、日寄ったり、ごまかしたるすることがなく、子どもたちとも理解しあえるのかもしれません。清志さんの生き方に触れると、天職に出会い、家族とともに生きることができ、ぶれることがない(ぶれる必要がない)人生を生きることの大切さを感じます。他人からどう思われようと関係なく、清志さんは、ひとつの人生を、責任を持って生きていると思いました。

 また、美奈子さんについては、「なんて挑発的な女だろう」と感じた出会いから、別れるまでが記されています。清志さんは、夫婦が対等に付き合うことは簡単といいます。相手をまっすぐに見て、若いとか、嫁だとかではなく、相手の尊敬できる所を探せばいいとのこと。美奈子さんの一番尊敬できるところは、なんといっても、「ポテトサラダが一級品」と指摘していました。清志さんらしい、人情味のこもった温かい言葉だと思いました。

 『ビッグダディの流儀』が刊行されてから2か月ほどがたちますが、テレビ番組「痛快!ビッグダディ」の続編放送の発表はありません。ただ、大人気の清志さんですし、長年テレビに出続けてきた子どもたちを応援し、成長した姿を見たいと思っている視聴者も多いと思います。なので、続編にはどうしても期待してしまいます。「痛快!ビッグダディ」のファンの方も、「痛快!ビッグダディ」をまだ見たことがない方も、『ビッグダディの流儀』を読んで、「痛快!ビッグダディ」の続編が放送されるのを心待ちにしてみるのも、楽しいのではないかと思いました。


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