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白夜/ドストエフスキーあらすじと読書感想文

2004年10月22日 竹内みちまろ

 「白夜」(ドストエフスキー/小沼文彦訳)は、ペテルブルクでの白夜の4夜の物語です。貧しい青年が少女と出会い、ほろ苦い恋に落ちます。青年は現実世界と折り合いを付けることができずに、空想ばかりにふけっています。そして、白夜の夜に知り合った少女に、そんな空想を長々と語って聞かせます。青年の空想を読んでいる間は、実に退屈でした。夢見がちな青年の空想ほど、退屈なものはありません。しかし、物語の中の少女は、意外にも、青年の話を熱心に聞いています。最初は半身半疑であった青年も、そんな少女を見て、いっそうの熱を込めて語ります。

 青年の話を聞き終えた少女は、今後は私の話を聞いてと、(青年の空想の物語を軽くいなして)、自分の物語を語りはじめます。少女が身の上話をはじめた後半から、「白夜」は一気に面白みを帯びてきました。少女は、1年たったら迎えに来ると言ってモスクワに旅立ち、そのまま音信不通になってしまった恋人を待っているのでした。青年は少女に同情しますが、同時に、少女に強く惹かれます。少女は、明日も同じ時間にここで会おうと誘われます。青年と語らう夜を繰り返すうちに、少女は、恋人に失望していきます。そして、最後の夜に、少女は、恋人に裏切られた憎しみを青年に語ります。そして、青年の恋を受け入れました。

「さあこれで、あなたも幸福なら、あたしも幸福よ。もうこれ以上なにも言うことはありませんわ」

 愛を告白された青年は、心も浮かび上がらんばかりです。

「あの空をごらんなさい、ナースチェンカ、まあ見てごらんなさい! 明日はきっとすばらしい天気ですよ。なんて青い空だろう、なんて月だろうな! ごらんなさい、ほら、あの黄色い雲、……」

 しかし、少女は雲なんか見ずに、その場に現れた一人の男だけを見ていました。音信が途絶えていた恋人が、ふいに戻ってきたのでした。少女は、状況を把握するやいなや、なんのためらいもなく青年の手を振りほどき、恋人のもとへ走りました。ロマンチストな男とリアリストな女。そんな恋の結末は、古今東西を問わずに、こうなる運命なのでしょうか。


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