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映画「ユダ」水崎綾女のあらすじと感想(ネタバレ)

2013年1月28日 竹内みちまろ 参照回数:

映画「ユダ」

監督:大富いずみ
製作:2012(日本)
原作:立花胡桃
出演:水崎綾女、青柳翔、水橋研二、青山倫子、鈴木亮平、NorA、田島優成、板尾創路

ユダのあらすじ

 高校生の制服を着ているエリカ(劇中では、キャバクラのスカウトへ「高校生ではない」旨を答えている)は、お腹の赤ちゃんの相手である恋人ダイスケが、2人とも知っている女子(同級生?)とまぐわっている場面を見てしまいます。連絡をしてもつながらず、電話をしても出ないので、エリカがやってきたのでした。エリカは「私たちの子どものことなんだよ」「なんで、ずっと一緒にいたいって、言ったじゃん」と訴えかけますが、ダイスケは「子どもなんか無理にきまってるだろ!」「お前と話してると、頭おかしくなる」とエリカを突き飛ばします。おでこを切って血を流すエリカを、ダイスケは見捨てて、行ってしまいました。

 おでこに絆創膏をつけたまま時給800円で働いていたエリカを見かけた、キャバクラの雇われ店長(たぶん)の新海が、エリカに「君なら時給4000円出すよ」「お金必要なんだろ?」と声をかけます。「わたしにもてなされて喜ぶ人なんて、いません」と断るエリカに、「いるよ」と告げます。新海は、エリカに、キャバ嬢たちが、キャバクラで働く理由を話します。「力だよ。金も力、自信も力、魅力も力、という考え方もあるってこと」。「信じること、愛すること、そうすれば幸せになれると思っていた」エリカは、信じることをやめました。すると、男のことが何もかも見えるようになります。大宮のキャバクラでナンバーワンになります。

 エリカの先輩の胡桃が、結婚のため、キャバ嬢をやめることになりました。胡桃は、新入りのエリカに化粧をしてあげたり(というか、顔の傷を隠してあげたり)と、面倒を見てくれました。エリカは、胡桃に、かつて働いていたという歌舞伎町の店を紹介してくれるよう、頼みます。胡桃は、やめときな、と言いますが、話を聞いていた新海が、歌舞伎町の店を紹介すると言い始めました。申し訳なさそうなエリカの「いいの」という確認に、心優しき新海は、ぶーたれた顔で「よくねえよ!」

 エリカは、胡桃の源氏名をもらい、歌舞伎町へ。伝説が始まりました。

ユダの感想

 「ユダ」はまず、エリカを演じた水崎綾女さんの演技に引き込まれました。演技というよりも、オーラとでもいいましょうか。もちろん、派手なドレスをまとい、ジュエリーを身に着けて、化粧で「武装」(劇中で、大宮の胡桃がエリカへ化粧は「武装」と教え込んでいました)した姿も迫力がありました。でも、それ以上に、すっぴんの無表情な顔(眉毛なし)で同僚のキャバクラ嬢に襲いかかる(殺しかける!?)場面とか、制服を着て髪の毛をきつく結わいていた素に近い顔(キャバクラに来るまではほとんど化粧をしたことがありませんでした)とか、ダイスケに浮気されてなお追いすがる場面とかに、オーラが出ていました。

 今風、あるいは、恋愛バブル的にいえば、エリカはイケてない田舎の女の子。水崎さんは、肌が浅黒く、骨太のがっちりめで、顔は童顔(作中では、同僚から、「せっかく天然の顔してんだから」といわれていました)。絵に描いたようなキャバ嬢という雰囲気からはほど遠く(勝手な印象ですか…)、モデル体型でも、アイドルの顔でもありません。どちらかというと、見た目は、「普通」という感じでしょうか。しかし、ただ綺麗なだけの人や、かわいいだけの人がトップスターになれることはまずなく、ハリウッドスターを見てもわかるように、一見すると、なんでこんな女優さんがスーパースターなの?という外見をしている人がいても、映画を見せられると納得してしまうことがあります。肉体的な外見ではなく、スター、あるいは、オーラというものは、内面のものなのだと思います。「ユダ」の中のエリカには、オーラがありました。

 なんだか主演女優さんの話ばかり書いてしまいましたが、ワインの輸入をしている冴木(板尾創路)はワインの輸入をしているだけあってチーズの場面が妙にエロティックでした。あと、ヤミ金融の「おっくん」こと大野博和を演じた青柳翔さんがよかった。哀愁のある女たらしで、憎めない奴なのですが、注目の演技派俳優というだけのものを見せてくれました。作品としては、原作とは違った形で、エリカの内面の旅が描かれていた点がよかったです。心像風景の中の水崎さんは、せつなくて、とても綺麗でした。


→ ユダ/立花胡桃あらすじと読書感想文


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