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映画「チア☆ダン」のあらすじと感想

2017年4月10日

映画「チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜」のあらすじ

 3年前、県立福井中央高校に入学した友永ひかり(広瀬すず)は、想いを寄せる男子生徒を応援するため、チアダンス部への入部を決めた。愛車をドリフトさせ颯爽と現れたチアダンス部顧問、早乙女薫子(天海祐希)は、集まった新入生を前に「ネイル禁止、恋愛禁止、前髪禁止……」と、厳しいルールを並べていく。1人ずつ踊らされる新入部員たちの中、ひときわ完成度の高いチアダンスを披露した玉置彩乃(中条あやみ)が部長に選ばれる。経験も乏しい部員たちを前に、早乙女が掲げた目標は、全米チアダンス選手権制覇。

 9月。全米制覇への第一歩、福井大会が開かれた。結果は最下位。「あんたたちはずーっと福井よ、福井地獄よ。え? 福井でいいの?」部員たちを一喝する早乙女。翌日、学校を休んだ彩乃は、ひかりの家を訪ねていた。決して広くはないアパートで、父親ひとりが出迎える。部屋の隅には仏壇と、母親と思われる、チアガール姿の女性の写真。それぞれの想いが描かれ、互いの気持ちを知り、メンバーがひとつになっていく。

 部の存続が話し合われる校長室に押しかけ、「チアダンス、続けさせてください。私らアメリカで優勝します」そう言い切るひかりたち。その日、早乙女はチームをJETSと命名した。東京からプロのコーチを迎え、特訓が始まる。

 JETSはその年、福井大会を制し全日本大会へ。しかし、全米への切符を手にしたのは、ひかりたちではなかった。

 福井に戻り、再び練習の日々が始まる。夢ノートを作りなさい、と指示する早乙女

「大きな夢を書き、一日単位で、叶えるために何をすべきか書きなさい」

 放課後、彩乃はさっそくノートを書いていた。全米大会で優勝する。そのために、部長として、みんなの敵になる。

 その日を境に変わる彩乃。練習中、一人一人に欠点を伝えていく。

「欲が無いのがひかりの欠点。楽だよね、はじっこで笑ってるだけでいいんだし。傷つかないよね」

 彩乃の言葉に呆然とするも、彼女の本気を感じ取り、宣言するひかり。

「彩乃。あたし、はじっこでもセンターのつもりで踊るから」

 3度目の桜の季節。練習中に膝を怪我し、松葉杖になったひかりは、練習を遠くから見て涙を流す。その後復帰するも、ダンスについていけない彼女を、早乙女はチームから外した。

 2度目の全日本大会。1人だけジャージ姿のひかり。「明るく素直に美しく!」、「レッツゴー JETS!」円陣を組み、1年前と同じ掛け声でみんなを送り出す。ひかりだけが、ステージ裏に残される。再び、悔し涙。JETSは優勝し、ついに全米大会出場が決まった。

 福井に帰り、学校で家で練習を繰り返し、大会の1週間前、ひかりはチームに戻っていた。そしてJETSはアメリカへ。予選を突破するも、成績は、予選を突破した7組中で最下位の7位。

「ひかり、センターに入りなさい。彩乃、ひかりのポジションに入って」

 JETSを優勝に導けるのはひかりの笑顔、そう判断した早乙女は、決勝前日にポジションを入れ替える。反発するひかりを制し、「わかりました」と彩乃。センターの心得が書いてあるからと、ひかりに自分の夢ノートを渡す。ノートにぎっしりと書かれた心得を読み、ひかりは彩乃の本当の気持ちを知った。

 ここまで来れたのは彩乃のおかげ。先生は何も分かっていない。「私、先生を軽蔑します」と、早乙女を睨みつけるひかり。「じゃいいわそれで」突き放す態度を貫く早乙女。

「全てをかけてやり続け、頂点に立った者にしか見れない風景がある。ひかり、その風景を見てきなさい」

 悪者になっても、生徒に夢を与えたい。悩みながら手探りを繰り返し、今の自分を越えようとしていたのは、早乙女もまた同じだった。

 決勝大会、ひかりたちの演技が始まる。「日本人は揃えるのが上手いだけ」、軽く見ていた審査員の表情が変わっていく。会場で、中継で、見守る観客たちも、自然にリズムに乗っていた。「誰もがセンターで踊っているようだ」と興奮する審査員。演技が終わり、歓声が沸き起こる。早乙女の元へ駆け寄るひかり。「見えました、風景が…」言葉にならないまま、覗き込んだ早乙女の顔は、涙に濡れている。

「ワールドチャンピオンは、JETS!」

 結果発表に、泣きながら抱き合うメンバーたち。

 数年後。県立福井中央高校、チアダンス部部室には、新入部員が集まる。

「頂点に立った者にしか見れない景色を見てきなさい」

 彼女たちを前に、コーチ姿で話すひかりの表情は、早乙女に負けない厳しさだった。

映画「チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜」の感想

 「チア☆ダン」は、福井商業高校であった実話がモデルの映画です。私も、せっかく福井県の出身なので、福井人視点からの感想を少し。

 まず驚いたのは、登場人物が話す福井弁のナチュラルさ。独特のイントネーションなど、かなり再現度が高いと思います。しかし、言葉は自然なのに、街並みが都会すぎて変な感じでした。それもそのはず、この映画のロケ地は新潟。「富山・石川・福井」と宣伝に名を連ねながら実はまだ北陸新幹線の届いていない福井は、ロケ地としては遠すぎたのでしょうか。

 最後にオマケですが、ひかりの家で父が彩乃に出すお菓子は、福井では有名な「五月ヶ瀬(さつきがせ)」という、固くて甘いおせんべいです。要チェック!

 福井出身としての感想は、このくらい。次に、映画全体を観て思ったこと。

 この映画の大きなテーマとして感じたのは、「夢の叶え方」でした。

 夢って、よくテーマになるけれど、どこか漠然としていて遠いもの。でもこの映画は、その夢をどうしたら現実のものにできるかを描いていきます。その方法として早乙女が提案するのが、「具体的な目標を定め、逆算して日々の自分を作っていく」ということ。それが理解できないひかりは、いつもその場の空気を良くしようと行動し、「そうゆうのいいから!」と、早乙女に怒られてしまう。なぜならその居心地の悪い空気は、メンバーを本気にさせるため、早乙女が意図的に作り出したものだったから。彼女はいつも未来のゴールを見ていて、それを実現するために、自分のキャラクターを作り上げていた。

 目標のために、時に自分は悪者にならなければいけないかもしれない。嫌われなければいけないかもしれない。すべては、「頂点に立った者にしか見えない景色」を見るため。そして、誰かにそれを見せるため。

 部長の彩乃は、いち早くその意図に気づき、変わっていく。最後、「頂点からの風景」を見たひかりも、やっとそれを理解し、早乙女のようなコーチになる。

 それから、夢を叶えることに、今ある運命は関わりがない、ということ。「夢までの距離」は、自分が勝手に作るもの。スタートラインがどこにあっても、あきらめない限り、夢は終わらない。

 もうひとつ、最後に。この映画のもうひとつのメッセージは、今の自分を誇りに思いなさいってこと。

 早乙女や、嫌味な部員が福井をバカにするシーンが出てくるけれど、これがメンバーの反発心を煽り、逆に「福井で何が悪い!」っていう、アイデンティティに目覚めさせている。そしてJETSは、アメリカに行っても、あえて「こってこての福井弁」を貫く。

 持って生まれたもの、今のあなたを作るもの、それは少しも恥ずかしいものじゃない。夢を叶えるかどうかとも関わりはない。むしろそれをバネにしなさい、あなたはあなたを武器にして、大きな夢を叶えなさい。そんな、強いメッセージを感じました。

 (実はもっと)田舎の福井から、福井弁を貫く女子高生たちが、東京も飛び越えてアメリカで夢を叶えちゃう、それが「チア☆ダン」という映画。役者さんたちの演技も素晴らしく、だからこそ、JETSが挫折を繰り返しながら夢を叶えていく姿が本当に感動的でした。

 この感動は言葉じゃ伝えきれないから、ぜひ「チア☆ダン」観てみてくださいね! 「誰かを応援する」チアダンスが題材のこの映画自体が、あなたへの応援歌。きっと元気が湧いてくるはず。

 そして、一度は福井にも遊びに来てください。ちょっと、遠いけど!(みゅう https://twitter.com/rekanoshuto13


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