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ファウスト/ゲーテのあらすじと読書感想文

2005年7月17日 竹内みちまろ

ファウスト

 ファウスト伝説は、16、17世紀から広くドイツに伝えられています。錬金術が科学であり、占星術が天文学だったころの話です。ファウスト伝説は、魔術師伝説だったようです。多くの人が、いろいろな形で、ファウスト伝説を書き残しています。一番有名なのが、ゲーテ(1749-1832)の「ファウスト」だそうです。

ファウストのあらすじ

 「ファウスト」(ゲーテ/相良守峯訳)のあらすじを、強引に説明すると、以下のようになります。

 「ファウスト」は、「主」と「悪魔」のたわむれではじまります。「主」と「悪魔」は、ファウストという人間の話をはじめました。「悪魔」が、「私の道へ連れ込むことをお許しくださるなら、あれを旦那様から奪いとってごらんに入れますが」といいます。「主」は、「よろしい、ではお前にまかせておこう」と答えます。「主」は、「善い人間は、よしんば暗い衝動に動かされても、正しい道を忘れてはいない」ことを知っていました。ファウストは、全ての学問を修めても、満ち足りないむなしさを感じていました。

 「悪魔」は、そんなファウストを誘惑しました。ファウストは「悪魔」と契約を結びました。官能と享楽を求めて清らかな乙女をたぶらかしたり、究極の美を求めてギリシャの女神と結婚したりします。しかし、そのたびごとに、乙女を犠牲にした悲劇に終わります。

 ファウストは、世のため人のために事業を起こすことに人生の意義を見いだしました。そんなやさきに、ファウストの生が終わりました。「悪魔」は、ファウストの棺をさらおうとします。しかし、天使たちが舞い降りてきて、悪魔を焼き尽くします。ファウストの魂は、かつて自分がたぶらかして死に追いやった乙女の魂に導かれて、「栄光の聖母」が指し示す天空のはるか彼方へと昇華していきました。

悪魔の誘惑により、高められる人間の精神

 「ファウスト」は、以下のような構造になっていました。

  プロローグ: 主と悪魔のたわむれ
  本編   : ファウストの人生
  エピローグ: 栄光の聖母による救済

 本編を読んで感じたことは、「悪魔の誘惑により、高められるファウストの精神」という逆説でした。「主」は、はじめから、「よい人間はたとえ誘惑に惑わされても正しい道を忘れない」ことを知っていたという設定です。

ファウストの感想

 だいぶ前の話ですが、本や映画の中から心に残った言葉をピックアップして配信するメルマガを発行していました。そのときからのくせで、「いいなあ」と思う言葉を見つけたときは線を引きながら本を読みます。「ファウスト」には、線を引いた言葉がたくさんありました。推敲に推敲を重ねられた作品だけあって、心に響く言葉ばかりが並べられているという印象を受けました。また、いま読み終えた「ファウスト」と、10年後に読む「ファウスト」は、違った味わいがあるのかもしれないと思いました。「ファウスト」は、人生のステージの中で、何度も読み返すべき作品だと思いました。


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