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ごんぎつね/新美南吉のあらすじと読書感想文

2012年3月10日 竹内みちまろ

ごんぎつね/新美南吉のあらすじ

 村の茂平というおじいさんから伝えられた話です。

 昔、山に「ごん」というきつねがいました。3日間、雨が続いたあと、ごんは、兵十が川に網をはって魚を捕っている姿を見かけました。ごんは、兵十が離れたすきに、びくから、魚を逃がすといういたずらをしました。兵十に見つかり逃げましたが、びくの中を空にしていました。

 10日後、ごんは兵十の母親が死んだことを知ります。ごんは、兵十の母親は病床でうなぎを食べたいと言ったにちがいないと思い、いたずらを後悔しました。

 ごんは、うなぎのつぐないに、いわし売りからいわしを盗んで、兵十の家に投げ込みました。しかし、兵十は盗人扱いされ、いわし売りからひどい目に遭わされていました。ごんは、今度は、栗やマツタケを拾って、兵十の家に投げ込み続けました。ごんは、兵十が栗やマツタケを神様のしわざだと思ったことを知り、「神さまにお礼をいうんじゃア、おれは、引き合わないなあ」などとこぼします。

 それでも、ごんは、栗を持って兵十の家に向かいました。あるとき、兵十が家の裏口からこっそり中へ入るごんを見かけ、うなぎを盗んだきつねだと、火縄銃でごんを撃ちました。ごんは倒れましたが、土間には栗がありました。兵十が「お前だったのか」などと告げると、ごんはぐったりとうなだれたまま、うなずきました。

ごんぎつね/新美南吉の読書感想文

 「ごんぎつね」は奥が深い作品だと思いました。ごんの好意やものの考え方、兵十の行動や発想など、それぞれに感慨深いのですが、読み終えて印象に残ったのは、最後にごんが撃たれる場面でした。これが、ごんが山を歩いているときに撃たれたのだったら、兵十はうなぎのかたきを取ったとしか思わないでしょう。が、作者は、撃ちとった後に、兵十が土間の栗を見つけ、ごんに「お前だったのか」と語りかけさせています。そして、こと切れる寸前のごんに、うなずかせています。つまり、兵十がごんを仕留めるという、悲しいともいえる結果に終わりましたが、ごんの心は兵十に伝わり、兵十もごんの心を知ることができました。兵十が近寄ったときに、すでにごんがこと切れてしまっていたら、ごんはうなずくことすらできません。

 悲しいストーリーですが、ごんと兵十の心に救いをもたらすようなラストシーンに、生命の存在は悲しく、そして、ときに心が伝わる前に取り返しのつかないことが起きてしまうという人間社会の性(さが)を見つめていますが、それでも作者が生命を純粋に見つめている「まなざし」を感じました。


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