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書評「チーズはどこへ消えた?」大谷翔平選手も愛読!|あらすじ&読書感想文

2017年8月23日

 去る7月3日、ある一人の医学博士がこの世を去ってしまった。スペンサー・ジョンソン。心臓のペースメーカー開発にも携わった彼は、多くの著作も生み出している。中でも有名なのが、「チーズはどこへ消えた?」(門田美鈴訳)だ。スポーツ選手やサラリーマン、政治家といったありとあらゆる職種の人たちに大きな影響を与えた本書について、スペンサー・ジョンソン博士への哀悼の意も込めて、じっくり考えていきたいと思う。

「チーズはどこへ消えた?」のあらすじと読書感想文

 パッと目に入った不思議なタイトル。どうしても手に取らずにはいられないと思わせる本書の内容に関しては、単純明快。主人公は、迷路の中で暮らすスニッフとスカリーの2匹のネズミと、ヘムとホーという2人の小人。彼らは日夜、迷路でチーズを探し求めている。食料にするためと、幸せになるため。

 ある時、好みのチーズを見つけた2組は、日課のようにそのチーズのある場所へと向かうようになる。そして、ここからが本題だ。

 単純な頭脳しか持ち合わせていないネズミたちは、毎朝チーズを探し求めて辺りを捜索し、しっかりと次に備えながら行動した。一方の小人たちは人間の性とでも言おうか、目的を達成したことで慢心が生まれてしまう。そこには必ずチーズがあると確信していることから、そこへ向かえば安心だとばかりに次に備えた行動ができなくなってしまう。

 ある日、そのチーズがあった場所から、チーズが消えてしまう。

 毎日、小さな変化が起きていたことに気づきもしなかった小人たちは、大慌て。その状況にあたふたしてしまう。一方のネズミは変化に対応し、本能的な行動をとる。彼らはすぐに次の行動に取り掛かった。

 対照的な2組の行動・・・ここに人生を上手く生き抜くコツが隠されているのだ。

 すぐに行動を開始したネズミたちに対して小人たちは、何日も何日も待ち続ける。次に取るべき行動を精査・分析し、そこに行けばまたチーズがあるかもしれないという期待を胸に、来る日も来る日も同じ場所へと向かった。

 だが当然のことながらチーズが戻ってくるわけでもなく、時間を無駄にし続けるのだ。これは人間の行動心理が大きく働いていて、そのチーズが大事であったからこそ、ひたすらにそれにしがみついてしまうということを浮き彫りにしている。恐らくどんな人でも一度は経験することではないだろうか。

 変化を恐れる・・・自分自身の生活システムが完成されてしまっているが故に、どうにも新しいことができない。ここで変えてしまって大丈夫だろうか。やりたいことがあるけど、忙しくてできない。その場しのぎの楽しみばかりを優先させて夢を実現することができない。小人たちはそんな人々の代弁者となって、自らの身を削って、大きなメッセージを伝えようとしてくれているのだ。

 ネズミたちはチーズを食べ続ければいつかはなくなるということを知っていたから、事態が急変しても迅速な対応ができた。備えあれば憂いなし。そんな言葉がピッタリ合う本能的な行動をとった。

 ここから幸せを掴むために対照的な行動をとっていく2組が描かれるのだが、結局、本書は何が言いたいのかというと、何事も複雑に考え過ぎずに常に前進しようということ。

 自らが置かれた状況に慢心することなく、常に変化に備え、視野を広く、取るべき行動をとることの大切さや夢の実現へ向けた一歩を踏み出す勇気を教えてくれる一冊なのだ。

 1時間で読めて10年間役に立つ、そう言われる所以が読んでいるとわかる、人生のバイブル的役割を果たしてくれることであろう。

大谷翔平選手も愛読

 余談だが、本書は言わずと知れた"二刀流"北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手の愛読書としても知られている一冊だ。投手と野手、その両方で高みを目指す前代未聞のプロ野球選手である彼が好む理由もわかる次第だ。これまで誰も成し遂げたことのないことをやり遂げようとするのはとても怖いことだが、彼はそれを恐れることなく挑戦し続けている。自分の置かれた状況に満足することなく常に前進し、状況を変えていく。本書で伝えたいことを体現しているかのような人生を彼は送っているのだ。そんな常に前進し続ける大谷翔平に勇気を与えているのは、他でもない、この「チーズはどこへ消えた?」なのかもしれない。

 多くの人々に影響を与えた「チーズはどこへ消えた?」。

 退屈な日常に飽き飽きし、何か変化を起こしたいと感じている老若男女問わず、すべての人々に読んでもらいたい一冊。読み終わった後には、きっと新しい自分にであえることであろう。(文=Sunset Boulevard Twitter:https://twitter.com/sunsetblvdmovie


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